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  • 2024/04/23 (火)
  •  気温や天候をはじめ花々の開花を含めた多くの社会変化で季節の到来を知る。最近、気付いたのがツバメの飛来だ▼越冬を経て日本にやってくる渡り鳥のツバメはたいてい人家の軒先に巣を作る。過去、多くの種を絶滅させてきた人間との共生を、天敵からの最大の自己防衛とする知恵は大したもの。営巣先では病人が出ず火事も起きないなど吉事に富む伝承こそ、害虫を食す益鳥に対する先人の配慮だろう▼萌芽から若草への成長著しい今ごろは新たな命の誕生の時季。ツバメの飛来の目的は出産と子育てで、これから2~3カ月は産卵期だ。営巣中、ふ化したひな鳥の“ふん害”に憤慨し巣を破壊する輩がいるかもしれないが、それは鳥獣保護管理法違反。都道府県知事の許可がなければ、勝手に卵やヒナがいる巣を壊すことはできない▼ある知人は愛車へのカバー掛けの手間を惜しまず、自宅の巣の直下にふん受けを設けるなど営巣を温かく見守っていた。人の優しさなど当人の真の姿は、日常のふとした行動に表れる。“命”を育む価値観は普遍的なものだ▼専門家によればふんを落とす行為は約半月ほどとか。人との共生を選択した彼らにはぜひ、やさしさで応えたい。

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